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zoom RSS 「もんじゅ」の中継機構脱落に関してあれこれ

<<   作成日時 : 2010/08/29 13:21   >>

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 日本原子力研究開発機構の高速増殖原型炉「もんじゅ」において、炉内の燃料移動等に用いる「炉内中継機構」が脱落、炉内に落ちた・・との報道がありました。

 小生自身は「もんじゅ」については一般の方に毛が生えた程度の知識しかありませんが、それでも、この報道を受けてのブログ等での批判的な発言については、首を傾げざるを得ません。
 中には、「もうこれで廃炉しかない」などと書いている妙なブログまであります。
 新聞等での報道に加えて、この事象に関する元の情報や、ATOMICA等の公開情報に当たれば、ここまでの「勘違い」はしないはずなのですが・・・


 というわけで、本日は今までの公開情報から、この事象に関するまとめを。

 軽水炉では水を熱媒体(冷却材)として使いますが、もんじゅはナトリウムを使用します。(知らない人はいないはず)
 ナトリウムは空気中で燃焼するため、原子炉の上蓋を開けることができないため、燃料交換においても不活性ガス(アルゴン)の雰囲気中で実施する必要があります。

 この時に炉内の燃料移動等に用いる装置が、今回問題となった「炉内中継機構」。
 この中継機構は上部遮蔽体上の穴から吊り上げ装置AHS(クレーンです)で炉内へ吊り下げられ、作業に使われるわけですが、前述の通りナトリウムの発火防止のため、これらすべてがアルゴンガス雰囲気のケーシングの中で行われます。
 なお、通常運転中にはこの機構は炉外に出され、遮蔽体の穴にはプラグ(栓)がされるそうです。(←ここだけ「詳しい人から聞いた話」)


 次に今回、何が起こったのかですが、ここで見る必要があるのが、機構からのプレスリリースに添付された図。

 音がした原因は、何らかの原因で吊り上げ装置のグリッパから中継機構が脱落・落下したことによるもの。問題はどこで音がしたのかですが、図で見ての通り、炉心には落下していません。(よくいるのですよね、炉内=炉心=燃料破損、と連想する人が。燃料なんて、炉内のごく一部のエリアしか占めていないのに。)

 それどころか、中継機構の異径部が上部遮蔽体の貫通スリーブ上部に引っかかっています。
 (図の通りであれば)作業中に確認された音は中継機構が炉内の何かに衝突したことによるものではなく、異径部が遮蔽体の上にぶつかることで発生したものなのでしょう。
 機構側もこれを想定しているはずですが、まだ確認が終わっていないことから、明言を避けているものと思われます。
 (第一報を「落下しました」ではなく、「吊り荷重が急減し、異音を確認しました」としているのも、「未確認情報については確認された事実のみを伝える」ことを目的とし、表現を選んだものでしょう。)


 落下の原因は、吊り上げ装置のグリッパ(報道によると、二本のツメで中継機構を固定する構造になっている模様)による中継機構の固定が不完全であったか、またはグリッパの駆動機構に何らかの損傷があったことではないでしょうか。
 今後はこの吊り上げ装置をケーシングから出しての点検に加え、必要であれば中継機構の上部(グリッパで吊っていた部分)の点検も行うことになるかと思います。

 これらの点検作業によって工程への影響は避けられないとは思いますが、技術的には案外簡単に片が付くかも知れませんよ。
炉内も見るとなるとちょっとばかり面倒くさいかも知れませんが。


 だいたい、この程度のトラブルで廃炉だったら、14年前に既に廃炉にされてますって。


参考1:ATOMICA「高速増殖炉のプラント構成 (03-01-02-02)」
http://www.rist.or.jp/atomica/data/dat_detail.php?Title_No=03-01-02-02


参考2:高速増殖原型炉もんじゅの炉内中継装置に係る作業について
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2010/08/p100827.pdf


参考3:高速増殖原型炉もんじゅ 炉内中継装置の取り外し作業中の異音について
http://www.jaea.go.jp/04/turuga/jturuga/press/2010/08/p100826.pdf



追記
 機構は「放射線モニタ類の指示値に異常はなく、原子炉容器内のナトリウム液位、カバーガス圧力、1次系ナトリウム流量に変化はありません。また、1次アルゴンガスモニタ(破損燃料検出設備)の指示値に変化はありません。」と発表しているので、燃料に全く影響がないことは既に明らか。
 ですが、これについて「機構が嘘をついていないと言えるのか」との話が湧いて出てきそうなので、あらかじめ補足しておきます。

 全ての原子力発電設備(もんじゅも含む)において、主要データを直接転送するSPDSと言うシステムがあります。
 また、これを一部流用し事故時の「止める・冷やす・閉じ込める」機能に関するパラメータをリアルタイムで監視するERSSと言うシステムもあります。

 故に、放射線に関する事故を国に知らせずに処理することは物理的に不可能です。

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コメント(12件)

内 容 ニックネーム/日時
元原発職員のかたの,脱原発に反発される気持ちはわかります。脱原発ともなれば人生が否定されるようなものですから。でも,それにしてもお気楽で,不安を持つ人を見下すような言い方は頂けない。おそらく原発推進派を支配する気分がそうなのでしょうが,反対者の無知を馬鹿にするのではなく,具体的に脱原発派の主張が間違いであることを一つ一つ実証し,丁寧に説明されたらいかがかと思います。

今回の事故の中継装置,どのような構造の装置なのかわかりませんが,2m吊り上げたところで落下,異径部に引っかかったとしても,炉心の燃料を交換する装置にぶつかったりして破損することは絶対にないのでしょうか。小部品やピン,ボルトが外れて原子炉容器内に落ちることはないのですか。万一そのようなことが起きた場合はアルゴン雰囲気下溶融Na中遠隔操作で間違いなく回収できるのですか?

この際ぜひお聞きしておきたいのは,原発稼働に伴う核廃棄物の処理法は確立しているのでしょうか?確立しているならなぜ未処理の核廃棄物の量が増え続けているのでしょう?
klee
2010/08/30 16:23
国にちゃんと報告しているから安心って・・・
いったい原子力推進で頭が一杯の方々がどれだけ楽天的なのか、
あきれかえってモノも言えません。

国がウソをついていないと、いったい誰が補償するというのでしょう?

しかも、1件目にコメントされたkleeさんのおっしゃる用に
3トンもの物体が2メートルも落下して、破損が絶対にないなんてだれが信じますか?
文献を見る限り、中継装置は溶接によって作られているようなので
kleeさんの言うような小部品やボルトが落ちるということはないにしろ
(それはKleeさんの些細な(本当に些細な)勘違いでしょう・・・)
引っかかれてできた傷がなんの影響もないと100%保障できるのですか?

保障出来ない部分が0.00000000000000000000000001%でもあるのなら、もんじゅは即刻とめるべきです。
それが、全国民のねがいです!
反原発じゃすてぃす
2010/09/03 23:39
ここの二つめのコメントは流石に釣りかな。

エクスレイ
2010/09/04 20:12
すみません。
kleeさんに質問です。

まず1つめ。
「脱原発に反発」の「脱原発」の意味が解りませんでした。

ご存知の通り、世界的に政策として「脱原発」を行っている国は少数派となってしまっています。ましてや、我が国はそのような政策をとったことはありません。(最近は連合のような労組まで賛成側になっています)

国ではなく、個人や団体レベルで行われている「脱原発(を目指す)『活動』」の事でしょうか?


2つめです。
何を持って「反発」としているのでしょうか。

こちらのブログには、解りにくいエネルギー問題や原子力トラブルの解説、教育の場で学ぶ権利を奪おうとする者に対する批判等が掲載されています。

「知識を増やす」ことの何が「反発」なのでしょう。


あと、このブログでは、国や電力への批判も行われているように僕は感じているのですが。


sciart
2010/09/05 16:34
>3トンもの物体が2メートも落下して、破損が
>絶対にないなんてだれが信じますか?


「破損が絶対にない」なんて小生は一言も書いておりませんが・・・・?
まあ、燃料について言えば、普通に考えて破損は「絶対に」ありえませんが。

SPDS/ERSSは、「報告」しているのではなく、発電所の計器類からJNESやMETIに直接、データが送られているものです。リアルタイムで送られるので改竄は不可能です。

NUCNUC
2010/09/05 19:43
反原発じゃすてぃすさん
>3トンもの物体が2メートも落下して、破損が
>絶対にないなんてだれが信じますか?

 既に読まれていることと思いますが、昨日、JAEAからの中間報告がありましたね。

 小生も現在読んでいるところですが、230トンの固定プラグの上に3トン程度のものが高々2mの高さから落ちて、破損するわけないですね。
 しかも固定プラグは原子炉容器の上に乗っているわけではなく、別に原子炉建屋に固定されているそうですから。


kleeさん
>異径部に引っかかったとしても,炉心の燃料を交換する装置に
>ぶつかったりして破損することは絶対にないのでしょうか

 インターネット等で以前から公表されている図は確認されましたよね?
 この事象は燃料作業終了「後」に中継機構を吊り上げる途中で発生したものであり、どう考えても衝突しようがないと思いますよ。
 あと、大学で多忙なのは理解していますが(小生も大学時代は土日も夏休みもなく、毎日朝から深夜まで勉強や研究に没頭しておりましたし)、質問には答えられた方が宜しいかと思いますよ。
NUCNUC
2010/10/02 17:03
>原発稼働に伴う核廃棄物の処理法は確立しているのでしょうか?
>確立しているならなぜ未処理の核廃棄物の量が増え続けているのでしょう?

 技術の確立と、それが実際に行われるまでの間には、タイムラグがあるのが普通だと思いますけど・・・。
 特に大型プロジェクトの場合には。
あぁさぁ
2010/10/11 02:55
もんじゅはなかなか面白いことになっていますね。

JAEAさんの情報の出し方が小出しでまだ詳しい事は解りませんが、そのうちに纏まった報告書が出るでしょうから、その後でまた何か書きます。

JAEAさんについても、NISAさんについても、書きたいことは幾つかありますので。(連絡遅れ、落下影響評価とそのチェック、情報提供のあり方、ノイズ発生対応、などなど)

工程の方も、数ヶ月から半年くらいは遅れそうに思えます。

NUCNUC
2010/10/18 23:14
そもそも。。。。

結果的に大丈夫でしょ?という論調なんですね。

作業ミスか、設計ミスか知りませんが、
技術的に不信感を持つのには十分な事例ですね。
小市民
2011/03/26 15:01
大丈夫って?
いやいや、何も修復作業できずに手詰まりみたいですけど。。。
発電できない炉を、あと何年維持し続ければ、トラブル脱出できるんだろう?
小僧
2011/04/01 18:48
地震・津波・電源喪失・経済破綻がないといいですね。
巡回
2011/04/06 05:39
この事故で人が死んでる事には触れないのですね。
機械は完璧でも動かす人は完璧じゃないですよ。
inu
2011/04/19 02:32

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