「世界は脱原発!」・・・なの?

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zoom RSS ドイツは自然エネルギー!・・・なの?

<<   作成日時 : 2009/07/14 22:36   >>

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1.はじめに

 「原子力よりも自然エネルギーへの投資を!」との声よく聞きます。

 その根拠となっているのが欧州、特にドイツやデンマーク、スペイン等での自然エネルギー導入実績。しかし、その実体についてはあまり語られていない様に思えます。
 欧州での風力発電導入は、高緯度で比較的安定した偏西風が吹く点や、地続きであり国家間の送電網があるため自然エネルギーの出力変動を供給と需要の両面で吸収し易いと言った、日本にはない利点によるところが大きいと言えます。
 しかしここ数年、このような自然エネルギー導入に適した環境がある欧州においても、その出力変動を吸収し切れないケースが急増しています。

 風力発電の設備容量は、ドイツが2,225万kW、スペインが1,515万kW。さらに欧州全体で5,654万kW(何れも2007年)と、これだけで見ると110万kWクラスの原子力発電所の実に50基分に相当する能力があるように見えます。
 多くの自然エネルギー派はこの部分だけを強調するのですが、実際にはカタログ値通りの発電には程遠い状態で、また設備容量の増大が時には逆に火力発電への依存を高めることにもなっているのです。

 今回は少々題材を変え、欧州で顕在化してきた自然エネルギー(主に風力)発電の導入拡大に伴う電力網への影響について記します。


2.困難な潮流把握が停電の原因になることも

 覚えている方もいらっしゃるかと思いますが、欧州では2006年11月14日に大停電が発生しました。
 この原因として、ドイツなどの風力発電設備からの系統内潮流が十分に把握出来ず、国家間電力取引の計画と実績が大きく異なってしまったことや、事故時の一斉解列(※発電機を系統から切り離し、送電を停止すること)による不安定性も指摘されています。

 このように停電にまで至るケースは希ですが、風力発電先進国では出力変動対策に相当苦労している模様で、最近になって欧州のエネルギー関係者が出席する複数の国際会議の場で自然エネルギー導入量の増大に伴う問題点に関する話題が取り上げられるようになっています。


3.常時、バックアップが必要

 2008年12月の時点でのドイツの風力発電の設備容量は2,224万kW。しかし、実際の発電電力は月平均で420万kWに過ぎませんでした。設備容量2,224万kWに対して平均420万kWですから、約20%程度しか発電していないことがわかります。
 また、風況によって日毎の発電電力も大きく変動しており、最大日で1,500万kW、最低の日はほぼゼロkWでした。大量導入によって瞬時出力変動はある程度平準化されていると思いますが、日毎の出力変動は非常に大きいことが分かります。
 このように出力が不安定な自然エネルギーには、負荷追従運転が容易な火力発電などの他電源による常時バックアップが必要となります。
 もう一つの対策としてNAS等の蓄電池を用いるケースも考えられますが、まだ高価です。短時間の出力変動の平準化対策としては有効ですが、現時点で発電容量に見合った大量導入は難しいと思います。

 「発電時にCO2を排出しない」のは事実ですが、風力発電等の大量導入には、常時、同程度の出力の火力発電所等を待機させて需給バランスを保ち、出力変動に起因する周波数への影響を抑える必要があるわけです。


4.原子力のバックアップとはそもそも違う(参考)

 「自然エネルギー発電にはバックアップが必要」・・・と書くと、必ずと言ってよいほど「原子力もいつトラブルで止まるか分からないのだから、常時バックアップが必要ではないか」との反論が出ます。

 しかしながら、自然エネルギーの変動には「常時バックアップ」が必要なのに対し、原子力の停止は多くの場合、発電所から給電指令所へ「問題があったので停止します」と事前に連絡を入れた上で行われており、常時バックアップが必要なものではありません。

 特に日本の場合には自動停止に至るかなり前の段階で異常を察知し、給電指令所と発電所間で連絡の上、プラントを停止するのが普通です。
 原子力発電所の停止により安定供給への影響が懸念され、かつ、発見された異常が原子力発電所の安全性へ影響を及ぼすレベルに達するまでに時間的な余裕がある場合には、休止していた火力発電所の起動準備が出来るまで原子力発電所の停止を遅らせることもあります。
 また、複数のユニットで共通の問題が確認された場合には、電力供給に支障のないように工程を調整し、1基ずつ順番に停止して修理する事も行われています。
 このように、「計画外」と言いながらも、実際には余裕を持ってある程度計画的に行われているのが原子力の「計画外停止」なのです。

 自然エネルギーの出力変動と原子力発電の計画外停止は全く性格の異なるものであり、これらを同一視して「原子力も風力や太陽光同様に常時バックアップが必要」と言うのは、非常にずれた発言と言わざるを得ないでしょう。


(以下次回)

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