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zoom RSS トリウム熔融塩炉の技術

<<   作成日時 : 2009/09/28 02:05   >>

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 最近の報道によると、古川博士の「トリウム熔融塩炉」に関する研究成果(知財)を一式、海外企業へ提供することになった模様。

 この原子炉はこれまで第一人者である古川博士を中心に研究されており、かつて研究用の原子炉も作製されていました。
 (一般向けの書籍も出版されています。)
 他の原子炉との決定的な違いは、名前に現れているとおり、「トリウムを燃料として使用すること」と、そのトリウムを「燃料棒ではなく熔融塩の形態で使用すること」です。
 結果として、「資源が豊富」「核不拡散性に優れている」「高レベル放射性廃棄物が少ない」「炉心溶融事故がない」「安全系がシンプル(=経済性高く、小型化可)」などの特徴があります。

 これらの利点から、最近の業界誌に、元広島市長の「被ばく国である我が国からトリウム炉を」との意見が掲載されたこともありました。

 しかし、我が国の電力会社やプラントメーカーは国策に沿ってウラン・プルトニウムの使用を前提とした軽水炉→高速増殖炉の開発が中心。
 この原子炉はこれまで産業界からは見向きもされませんでした。


 今回の動きは少々残念ですが、仕方のないことだと小生は思います。

 既存の軽水炉でトリウムを燃料ペレットに混入して使う技術については、以前から研究されていますし、前例もあります。
 しかし、「熔融塩炉」はこれまでの軽水炉とは大きく異なる原子炉です。
 軽水炉よりもさらに安全とは言え、「原子炉」には変わりなく、しかも(技術自体は古いが)新型炉。実証炉の建設には、実績のある軽水炉と同等か、もしくはそれ以上の立地地域の反対がありそうです。
 研究用の原子炉が既に作られているとは言え、商用化に向けては、軽水炉やガス炉、ナトリウム冷却炉もそうであるように、新たな課題も顕在化するでしょう。(業界の外の人で、この辺のことがあまり分かっていない人が多い。)
 また、トリウム採掘・流通市場の構築や燃料製造プラントの建設、運転・保全技術、規制・規格・基準等のインフラ整備も必要です。


 対して、軽水炉はスリーマイルアイランド事故以降、世界中で比較的安全に運転されている実績があります。
 NRCやWANO,INPOを通じて凄まじい量の情報が発信・共有されており、軽水炉は「世界中に存在している」というだけで、他の炉型と比較して非常に高いアドバンテージを持っています。
 既に軽水炉開発で世界の中心にある国内の原子力プラントメーカーにとって、新たなタイプの原子炉の商用化をこれから始める「うまみ」はないでしょう。

 「日本発の独自の原子炉」となる機会が無くなったことは残念ですが、今後、トリウム熔融塩炉技術がどこかの国で継続して研究され、いつか実用化される日が来ることを期待したいと思います。
 ドイツ発のPBMRの研究が今も南アフリカで継続されている様に。


※PBMR:ペブルベッドモジュラーリアクター。
 二酸化ウランのボール型燃料とヘリウムガス冷却材を用いる小型炉。冷却材が無くなった場合でも温度上昇により核反応が押さえられ、炉心溶融は発生しない。
 ヘリウムガス冷却材を用いる点で他の次世代ガス炉との技術的な共通点も多く、水素製造への利用も期待されている。

 元々はドイツで研究・開発。1960年代には実験炉が建設され20年以上稼働していたが、チェルノブイリ事故の余波で開発は中止された。
 その後、南アフリカが検討を開始、1999年には合資会社が設立され、商用化に向けて動き始めた。2020年の運転開始、さらに世界への進出も目指している。
 なお、三菱重工も炉内構造物やガスタービンの設計を受注していた。

 南アフリカは、かつてのアパルトヘイトにより「遅れた国」との印象を持たれており、PBMRが国家プロジェクトとして進められている背景には、新型炉開発・実用化による技術力の鼓舞という政治的な思惑も働いている。

https://www.pbmr.co.za/
(↑非常に興味深いので見ていただきたい。)





 ところで、ドイツ選挙でCDUが勝利しましたね。
 なかなか面白いことになってきました。

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コメント(2件)

内 容 ニックネーム/日時
 そんなことになったのでありますね。
 私は、知的財産一括供与は「現実的な判断!」だと思います。

 我国の原子力技術を支え、実績もある東芝/IHIや日立GE,三菱等の軽水炉メーカーがあえてトリウム熔融塩炉開発に乗り出すなどということはあり得ませんし、他の重電メーカーが投資回収に時間のかかる新事業、しかも原子力に新たに取り組むなど、さらに考えられません。
 「被ばく国からトリウム炉を」と言ふのは理想としては良い方向だと思いますが、残念ながら夢や理想だけでは企業はやっていけませんし、人は食っていけませんからね。

 世界的に原子力発電が見直され、また核軍縮と平和利用が強調されているこのタイミングで、原子力発電技術のない国へ売却することにしたのは良い判断だと思います。
あーさ
2009/10/10 04:02
そんなに世界を汚染してなにか良いことがあるのでしょうか。
祝 レベル9
2011/04/12 16:21

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